【読んだ本】線を引くべきポイントは3つ。土井英司「一流の人は、本のどこに線を引いているのか」

一流の人は、本のどこに線を引いているのか

「読書について考える」というテーマで、読書論に関する本を読んでいます。

何冊も読んでると結構みんな言ってる内容が被ってるなぁなんて思っているところです。そんな中の一冊で、昨年出版された「一流の人は、本のどこに線を引いているのか」という本、タイトルが面白かったのでレビューしてみようと思います。

著者の土井英司さんは「人生がときめく片づけの魔法」などの出版プロデュースを行い、かつてはアマゾンの日本サイトの立ち上げに関わってカリスマバイヤーとまで呼ばれていたそうです。土井英司さんのプロデュースした本は彼の会社のウェブサイトにずらりと並んでいて、読んでないにしてもどこかで見たことあるなぁという本ばかりでした。

「一流の人」と入っていることで察しがつくと思いますが、これはビジネス書ですので、ビジネスマンや大学生の方が読むと参考になる部分が多いのではないかなと思います。いわゆる意識高いというやつですが、著者の方は実績を伴っているので「意識高い系」ではなく本当に高みにいる人なわけです。

 

一流の人はどうやって本を読むのか?


さて、タイトルはおもしろいのですが、この本は全編通して線の引き方指南をしてくれているわけではありません。

本文は7章に分かれていますが、1〜2章が線の引き方も含めた本の読み方で、残りは具体的な名著を引き合いに出して、ビジネスマンが本を読む時に心がけるべきことが並んでいます。

タイトルに「線を引くべき箇所は3つ」と書きましたが、本の中では「引くべき箇所」というのは箇条書きになってたりはしません。私の独自調べです。

この方は毎日3冊ビジネス書を読んで、そのうち1冊をレビューしてメルマガで流すというとんでもない読書量で仕事をしている人なのですが、どちらかというとそのレビューメルマガの流れに近いような内容になっていました。おそらく再利用している部分もあると思います。

といっても、べつにそれが悪いといっているわけではありません。線をどこに引くか、という話は忘れても非常に参考になるような話がたくさん入っていました。

さて、私が読み取ったところによると、以下の3つが線を引くべき箇所だと思われます。

  1. 多少の嫌悪感があっても、どういうわけだか気になる1行
  2. 挫折するくらい理解できなかった本の、理解できなかった箇所
  3. 成功結果を導いた「原因」の箇所

詳しい解説は避けますが、この本の論法は「線を引くべきでない箇所」をあぶり出すことで「線を引くべき箇所」の輪郭を描き出す、というような手法が取られています。なので、引くべき箇所は少しわかりにくいです。

ですが、引くべきではない箇所は豊富に書いてあるので、いくつかは参考になると思います。たとえば「自分の考えを後押しするようなところ」とか、「創業秘話のような本で感動したところ」、「成功の結果」などは引いてはいけない筆頭のようです。

これらをまとめて、線を引く時にもつべき理念とはなにか考えてみると、「そこに線を引いて自分の成長に繋がるのか?」ということです。ビジネス書は成長するために読むのですから、線を引くならそれを意識して引くべきということですね。

 

真髄は「線を引く」ではない? 読書するときも「部分練習」が大切。


本田直之さんの「レバレッジリーディング」が出て以来、本(特にビジネス本)に線を引きページを折りまくる、ということに抵抗がなくなった人はたくさんいると思います。

ただ漫然と読むだけではやはり成長は得られません。「本を読むことで絶対に何か得てやろう」というハングリー精神のような意識が大切なわけです。

先に書いたように、この本ではそんな風に本を読む際の心構えが豊富に書かれています。その中でももっとも私が参考になったと思ったのは、「部分練習」という考え方です。

本文ではテニスのジョコビッチ選手が、ボリス・ベッカーをコーチに迎えた話を引き合いに出しています。曰く、ジョコビッチはサーブが弱みの選手だったので、コーチに最高のサーブを打てるベッカーを招き、サーブを徹底的に「部分練習」することで弱みを埋めた、ということです。

著者は読書にも同様の理論が言えるといいます。テニスの部分練習はサーブとかバックハンドとかになるわけですが、読書の場合は「どの分野を読むか」ということを意識し、その分野の名著を読むべきだということです。

この「読むべき分野」について、著者はビジネスパーソンが一般的に意識すべき8分野を挙げています。会計、戦略、マーケティングなどですが、これは読者ひとりひとりが抱えている問題に対応した分野を選べばよいということです。おそらく、8つにこだわる必要もないでしょう。私の場合は司書なので、以下の分野は必ず押さえておくよう意識して読んでいます。

・図書館、図書館情報学の最新動向
・公共哲学
・行政学、行政マネジメント
・流行・話題の本(文芸賞受賞作品や本屋で面陳されるビジネス書など)
・青少年読書感想文コンクール課題図書(児童書の良書見本市みたいなものなので)

まだどの分野も名著を読み切ったとは思えていませんし、趣味で読む本はこれに限定していません。しかし、自分が本から何を得たいかというのを明確にするためにも、いまから何を読むのかということを意識するのはよいことではないかなと思います。もちろん、そうやって分類するのもたいへんなので、とりあえずここで著者が提案した分野に沿って読書をしていくのもよい戦略だと思います。

 

日に3冊本を読む著者の読書術。だからブックリストとしても非常に優秀。


著者の土井さんのメルマガはかなりの認知度を誇っているようで、ビジネス書情報を得るためにたいへん良いツールになっています。

そんなお仕事をしている方の本ですから、この本の巻末にもブックリストが掲載されています。著者が線を引いた一文とともに紹介されているので読書欲をそそられますし、司書の私の目からみてもどれもおすすめできる本でした。このブックリストを順に読んでいくのもいいですね。

かといって、そんなに膨大な本を読めるかと思うと、億劫になってしまう方もいるかもしれません。しかし著者が説くところによると、一冊の本で線が一つしか引けなかったとしても、それはそれでいいそうです。目的さえ果たせば、本を読み通す必要すらないのです。

読書を成長に繋げるためにどのようなことをすればよいのか、それは「目的を持って読書をする」ことです。いくら「7つの習慣」を読んでいても、なんのために読んでいるのかわからなければ成長に繋がることは少ないでしょう。

逆に、名著は目的を変えて何度も読むことも推奨されています。たとえば「人付き合いの方法」と「モチベーションを保つ方法」のどちらも「7つの習慣」を読めばヒントがもらえます。今日の目的はこれ、次の日はあれ、と毎日貪欲に目標を定めて読書をすれば、いつか著者のような成長に繋がっていくでしょう。

 

投稿者: 森野

図書館で司書をしています

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