【読んだ本】月3,000本の記事を生産する。「新しい文章力の教室」唐木元

新しい文章力の教室 唐木元(インプレス)

意気揚々とブログを書き始めたのはいいのですが、納得のいく文章がまったく書けなくて悶々としています。

大学院に行ったので、一応そこで文章の書き方は習うのですが(アカデミックライティングといいます)、これは学問の世界で通じる書き方なので、ブログ記事なんかに応用できるわけがありません。

しかも、就職してからというもの長文を書く訓練をまったくしていなかったことに気づきました。自分では割と文章を書くのが得意だと思っていたのですが、いままでの記事を見返してそのさんたんたる光景にア然としてしまいます^^;

というわけで、名古屋駅に最近できたJRゲートタワー内の三省堂書店へ行って、いくつか文章の本を買ってくることにしたわけです。

 

ナタリー元編集長による、新人記者の文章教育をまとめた本


「新しい文章力の教室」は、コミックナタリーの元編集長である唐木元さんが、編集長時代に”心血を注いだ”新人教育の内容をまとめた本です。

私が手に取ったのは、「月3,000本の記事を配信する」という謳い文句がきっかけでした。考えてみると、記者をたくさん抱えていれば3,000本は書けるかもしれませんが、それらをまとめてメディアとしての品質を保つというのはものすごい努力なのではないかと思ったのです。これはべつにナタリーだけでなくて、新聞や雑誌の記者や編集の方にも同様のことが言えると思います。

まさにブログ記事の書き方指南にぴったりなんじゃないかと思い購入しました。

 

記事は「プラモデル化」せよ!


一番参考になったのは、この「プラモデル化」の概念です。これはどの文章にも応用できると思います。

本によると、文章は目に見えている部分だけでなく、「事実」→「ロジック」→「言葉づかい」の3層構造になっているそうです。小説ではこうならないでしょうが、ブログ記事は確かに「事実」が前提としてあって、それをどのように伝えるかの「ロジック」をきちんと整えて、最後に「言葉づかい」で読んでもらう体裁を整える……という構造になっていることは想像できます。

この「ロジック」をどのように整えるのか、というところで、この本では「主眼と骨子が大切」といっています。

主眼とはテーマです。これに対して骨子は「要素」「順番」「軽重」で成り立っているそうです。

「要素」とは事実です。これがなければ始まりません。5W1Hを意識して、書きたいことをまずは集めてきます。

次にそれをどのような「順番」で伝えるか、ということを考えねばなりません。個人的には、ここがロジックのキモだと思いました。同じ要素を使っても、順番によってそれが音楽系の記事になったりコミック系の記事になったり、という例が本文中で示されています。

最後の「軽重」は、要素ごとにどれくらいの文章量を書くか、ということです。これは何をいいたいのか、何をPRしたいのかということで変わってくるので、主眼との関わりを考えながら決めねばなりません。

このように、文章をパーツにしていくことでロジックをすっきりさせ、なおかつ書いている最中の迷いをなくすことで時間短縮にも繋げる、というのが「プラモデル化」とのことでした。

このプラモデル化の練習のために、全体を概観できる「構造シート」というのを書くとよい、というのも書かれています。とりあえず私も素直に、このいま書いている記事をプラモデル化して構造シートを作ってから書いていますが、確かに段違いに書きやすいです。

 

事実・ロジックができれば70点。しかしそれを90点にするのはとても大変。


この本は5章から成り立っています。章ごとのテーマをみると、第1章は「事実・ロジック」について、第2〜5章は「言葉づかい」について書かれています。

著者は、「事実・ロジック」がちゃんとできれば70点の文章が書けると言っています。しかし普通のテストでも、70点を90点にするのは難しい、ということはよく言われます。文章において70点を90点にする方法が「言葉づかい」なのだそうです。

そのためにこれだけボリュームを割いているわけです。この2〜5章は細かい文章の注意点がたくさん並んでいます。といっても、だらだらと並んでいるわけではなく、章タイトルも「読み返して直す」「もっと明快に」など、テーマを絞っていて読んでいてわかりやすいです。「主眼と骨子」をしっかり作って書かれているからでしょうね。

私が特に参考になったなと思ったのは、「文章のスピード感」と「点と線」という話でした。

文章のスピード感ってよく言われますけど、この本ではちゃんと定義されています。曰く、

文章のスピード感=情報量/文字数

だそうです。

一つの事実を伝えるのに10文字使うのと20文字使うのでは、読者はまったく異なる印象を受けるわけです。冗長すぎる文章ではダメだし、あまり文字数を減らしすぎてもスピードが出すぎて読者がついていけないよ、ということがわかります。ちょうどよいスピードの定義は乗っていませんが、それは文章を書いていく中で理解していくことなんでしょうね。

もう一つの「点と線」は時制の話です。たとえば「5月から発売される」という言葉に違和感が持てるでしょうか。「発売される」のは一度きりのできごとですが、「から」という助詞があると「発売」が何度も行われる、というように取れてしまうわけです。このように、時間のポイントを表す言葉(点)と時間の流れを表す言葉(線)に気をつけましょうということです。

この例で言えば「5月に発売される」とか「5月から販売される」というように直すのがよいわけです。これが一致していないと、だらしない印象を与えるそうなので、仕事の文章などでも気をつけたいところです。

 

文章のオチはどうすべきか


私にとってはたいへん参考になった本書なのですが、これはブログ記事など事実を人に伝える文章術なので、小説のようなうまいオチを書く方法は載っていません。

この本の中で良い文章とは、「完読される文章」と定義されています。ロジックがしっかりしていれば、すぐ読み飛ばされるネット時代にも「完読」が狙えるということです。なので、うまいオチなどは必要ないのでしょう。

というわけで、この記事にもオチはありません(笑)

もちろん、文章を書く方法としてはとても理にかなっていると思ったので、とりあえずしばらくはこの書き方に素直に従って文章力を養っていきたいと思います。

 

投稿者: 森野

図書館で司書をしています

「【読んだ本】月3,000本の記事を生産する。「新しい文章力の教室」唐木元」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です